物心ついた頃から、僕は確信していた。「テレビの中に何かいる!」
他の人に相談はしなかったが、絶対に何かいると信じていた。
だから、学校から帰ってきてそっと音を立てずに近づいて覗いたり
テレビを消して立ち去ると見せかけて、いきなり振り向いたり
テレビの裏側に座って何時間も監視したりしていた。
弟に「何をやっているの?」と不思議そうな顔されても気にならなかった。
昔のブラウン管のテレビは、いかにも何かいそうな雰囲気だった。
テレビの中に隙間もたくさんあって、小人なら十分に生活できそうだった。
うちは共稼ぎの家庭だったので、昼間は自由に出てきて
冷蔵庫を勝手にあけて、ちょっとづつ何か食べてると思っていた。
証拠はある。
テレビを消しても時々中から声がしたことが数回ある。
そして、学校から帰ってくると凍らせてあるアイスキャンデーがない時が
何度かあった。(これは前日食べつくして、そのことを忘れた可能性大)
テレビの裏に座って隙間を覗き続ける僕を両親は気にもしなかった・・・
いや、気にはなったのだろうが変わった子供と片づけていただけかも
知れない。でも、そのおかげで何時間でもテレビの隙間を見張っていた。
最近は、そんなことを考えることもなかったが
めちゃめちゃ薄くなったテレビをみて、そんな子供時代を思い出した(笑)