僕の頭の中~文房具ライターの秘密~

文房具ライター:猪口文啓の頭の中(考えたこと、考えていたこと、秘密にしていたことを紹介します)

「鯉のぼり」と「ひな人形」

今週のお題「ひな祭り」

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僕のささやかな野望

僕の家には「鯉のぼり」が無かった。子供の頃、大空に豪快に泳ぐ「鯉のぼり」に憧れていた。本当に欲しかった。家の庭で泳いでいるのを見ていても良いし、家の中で人魚に変身するときに使っても良い。本当に素晴らしいアイテムなのだ。

親父に「鯉のぼり、欲しい」と言ってみたが、とりあってもらえなかった。今だから理解できるが、結構生活が苦しかったようだ。僕はこのとき自分の子供には絶対に買ってやると決めた。しかし、買った家の庭が小さかったので買ってやれなかった。

長男に「おまえ、鯉のぼり欲しくないのか?」とそっと聞いてみた。「いらないよ。そんなの邪魔になるだけじゃん!」と答えてくれたが、本心ではなかったと思う。僕に気を使ってそういってくれたんだと思っている。

そのかわり女の子が生まれたら「ひな人形」を買おうと思った。絶対に5段飾り以上!理想は7段飾りのタイプを買うつもりだった。運よく女の子を授かったので、この夢が自然に叶うモノだと考えていた。お金がなくても親父に頼もうと計画していた。

我が家のひな人形はタペストリー

「ひな人形を買おう!」と嫁に提案したら、即座に却下された。「ただでさえ狭い家が余計に狭くなる」というのが理由だ。そんなに狭くないし、一部屋つぶせばいいじゃないかと主張したが通らなかった。感情論で、理由はないらしい。

しょんぼりしている僕をみて、嫁は自分で「ひな人形タペストリー」をコツコツ時間をかけて完成させた。このあたりは凄いパワーだ。とても真似が出来ない。こういう仕事は女性の集中力で大抵完結に至る。

あれから15年くらい経過するが、いまだに現役だ。この季節になると壁に貼ってある。でも、僕はこのタペストリーを見るたびに「鯉のぼり」は欲しかった自分を思い出す。自分の子供にはこういう思いをさせまいと思った自分を思い出す。

センチメンタルな思い出

人生は全てがハッピーではなくて、こんなセンチメンタルな思い出も必要なのかもしれない。こんなスパイシーな思い出があるから、昔のことも覚えていられるのだと思う。僕の子供たちもそういう思いをしてきたのだろう。

何かを見ると、違うシーンがフラッシュバックしてくる・・・これがもしかしたら「宝物」なのかも知れませんね。

「我が家には鯉のぼりとひな人形がなかったけど、どうだった?」今度家族が集まったら、子供たちにこんな質問をぶつけてみたいと思う。どんか答えが返ってくるのか楽しみだ。「欲しかったんだ。自分の子供には絶対買うよ」と言われたら、泣いてしまうかもしれないですけどね(笑)

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