『本当の自分』を探す旅をして、帰ってきました。
僕の友達も『本当の自分』を探す為に、会社を辞めたり、夜遅くまでお酒を飲んだり、友達に彼女を紹介してもらったりしていました。僕は少し路線が違いましたが、ほぼ同じ時期に旅をする決意をして、最近帰ってきたのです。
答えは見つかりませんでした。
今は忙しく来年のプロジェクトの成功を夢見て、複数のスタッフと毎日遅くまで働いています。なかなか休みが取れないけど、充実した毎日です。上司にも恵まれて、会社に行くことが嫌だと思ったことはありません。これも『本当の自分』
隣の扉を開けると、窓の外は一面の雪景色。暖炉のパチパチと言う音が聞こえるくらいで、他には何もありません。隣には、最近寝てばかりいる犬がいるだけ。読みかけの本をもう一度開くのもおっくうなくらいの時間。これも『本当の自分』
また、隣の扉を開けるとここは京都なのだろうか。緩やかな坂道を、子供達を誘導して歩いてます。そうだ、今日は写生大会で河原の風景をモチーフに担当のクラスの子供達を目的地まで連れて行かなくてはならない。これも『本当の自分』
さらに隣の扉を開けると、大声をあげて僕は怒っている。周囲も負けずに怒っている。何か巨大な建築物に向かって、そのもの自体に溢れる怒りをぶつけている。いったい何があったのだろうか、わからない。でも、これも『本当の自分』
そんなのだ。どんな環境で、どんな役割を背負わされても『本当の自分』なのだ。
ただ、わかっているのは『本当の自分』ではないというときの『自分』は、とても卑怯者で、はっきり意見を言えずにその場を見過ごした『自分』に怒っているのだ。『自分』でどうにでも出来たはずなのに、バカみたいだ。
『本当の自分』を探す旅をして、帰ってきました。
でも、周囲の人も含めて、起こるすべての事象も、すべてが『本当の自分』